原因

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「私は幽霊だの呪いだのは信じていない。母の入っていた宗教だってインチキなテロ集団だった。結局は宗教も心霊もインチキなんだと悟った。桜みたいな本当に能力のある者はほんの一握り。あとは全てインチキだ。 陰陽師だとか名乗って拝み屋風情が大きい顔をしているのは我慢がならん。あんな失礼なヤツに祈祷が出来るなら私にだって出来るはずだ。そう思って私も呪いとやらをやる事にしたんだ。本当に呪いで人を殺せるものならやってやろうじゃないかってね。しかし今の今まで陰陽師は死んではいない。やはり呪いなんてない事が証明されたのだ」  陰陽師様への恨みの原因は分かった。そして呪う理由も。陰陽師様を呪い殺したくて蠱毒だのオカルトに興味を持ち特番を組んてまで実証したかったのだろう。ただあれだけの生贄を捧げて呪おうとしたのだ。陰陽師様だったから無事でいられたが他の人だったらとっくにどうにかなっていた。そして、その呪いの対価……。  人を呪わば穴二つ。社長にも呪いが返って来てもおかしくはない。しかし……生贄は出たのだろうか。捧げるべき”神様”はいない。ならば呪いは発動しなかったのだろうか。あれだけ社長は強い恨みを持っていたのに? 「お話は済みましたか?」  秘書さんが”ニッコリ”笑って話を遮った。  もしかして、もしかして、秘書さんが社長を守っていた? 呪いが発動しないように術をかけていた? この部屋の五芒星はそのため?
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