原因

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「栗本愛くん」 「はい!」  突然社長が威厳たっぷりに仰々しく私の名を呼んだ。  秘書さんが社長に紙を渡した。そしてそれを社長が読み上げる。 「辞令。4月より朝のお天気キャスターに任命する。よろしく頼むよ」  …………。 「え! 朝のお天気キャスター!?」 「君の事務所の社長から何度もお叱りをいただいてね。若い娘を夜中まで働かせるなんて危険極まりないだの、夜は寝ないと肌に良くないだの。まあ帰りに何かあったら困るからね。これからは朝早いが大丈夫かね?」 「……はい! 不詳栗本愛、謹んでお受け致します! 任せて下さい。早起きは大得意です!」 「じゃあ宜しく頼むよ」  社長から辞令を手渡された。何度も何度も短い文を読んだ。そこには「超早!」の番組内のお天気コーナーのキャスターを命ずるとあった。その日の朝一番のニュース番組。その中の天気予報はその日一番早い天気予報。それを私が担当するのだ。
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