恒例行事

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恒例行事

「ジャ~ン! 新車だよ!」 「おお! ちっちゃ〜」  めでたく私は運転免許を取得した。嬉しくてすぐに新車を買った。特殊任務で貰ったボーナスを使わず貯めておいて良かった。  車はMITSUBOSI自動車の、その名も「i」。「アイ」だ。軽で超コンパクトだがメチャメチャパワフル。そりゃ外車の大きい車に乗り慣れてる由美にしたらオモチャみたいに見えるかも知れない。でも私は凄く気に入っている。 「さあ乗った乗った」 「え〜、大丈夫? ゆっくり走ってよ」  私の運転が不安らしい。失礼なヤツだ。あんまり不安がられるとこっちまで不安になるから黙っていて欲しい。 「おお、エアコンの効きはいいね」 「そりゃ新車ですから」  由美は着ていたコートを脱ぎ後部座席にポイと置いた。  外は木枯らしが吹いていた。今日は大晦日。テレビでは年末年始の特別プログラムが組まれ私は3日までお休みだ。それを利用して故郷へ帰る。由美を連れて。 「向こうでみんなに会えるの楽しみだね」 「リキリキも来られれば良かったのにね」 「初詣で混雑するからテロとかの心配もあるみたい。だから待機しなきゃいけないんだって」  せっかくの新年を一緒に迎えなくていいのだろうか。リキリキは1人で年越しをするのか。可哀想に。
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