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「ま、毎年恒例だからね」
「だね」
「楽しみ〜」
高校の時から私たちは初日の出を拝むために登山をする。凍てつく山道を延々と登り、その頂から眺める初日の出はとても神々しい。寒さも疲れも一瞬で吹き飛ぶほどだ。由美さえも楽しみにしてるくらいに。
「イケメン執事にまた会える〜」
「そっちかい!」
我が師である田中住職の執事は滅茶苦茶イケメンだ。といっても元は妖。住職好みの姿かたちに变化し、家事全般完璧にこなしている。お正月ともなれば豪華な料理を作ってくれる。どうしたら眷属をそんなふうに育成できるのか是非とも教えを請いたいところだ。
「でも愛は新年祝賀パーティーには出ないんでしょ?」
「うん」
「先輩と初詣か。へへ、後で報告しなさいよ」
「報告する事なんかあるわけないじゃん! 神社へ行くんだよ。神様の前で何かあるわけないじゃん!」
「初詣の後……」
「初詣の後はうちに帰るの。お正月なんて何処も混雑しててご飯も食べられないでしょ」
「おお、ご両親への挨拶! お嬢さんを僕に……」
「まだ付き合ってもないのに、それは有り得ないよ」
「だ〜ね。早く付き合いなさいよ」
「……善処します」
そればっかりは私1人ではどうする事もできない。
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