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「おうお帰り。毎晩観てるぞ」
「別にいいよ」
「愛はテレビ映りいいなあ」
「何それ! どうせ元は良くないですよ。お父さんの子だもん」
お父さんに観られていると思うと、嬉しいような恥ずかしいような。ついテレ隠しで反抗的態度を取ってしまう。家にいるとまだまだ子どもな私。
「で、明日……その……初詣の後……お母さんから聞いたんだが……」
お父さんがもごもごと言いづらそうに聞いてきた。先輩の事だな。
「ご馳走用意しておいてよ」
「いや、用意するのはお母さんだし……えっと……その人はお酒は飲むのかな?」
「え? 知らない」
「一緒に飲みに行ったりしないのか?」
「ご飯だって食べに行ってない」
「え!」
私のマンションでピザを食べた事はあったが外食はした事がなかった。まだ付き合ってもいないのにデートも何もない。あ、でも桜とは3食共にしてたんだ。クッ……。
「そうか、今どきの若い者にしては……いや、いいんだ。それでいいんだ」
勝手に納得して安心するお父さん。こっちが恥ずかしくなる。
久しぶりに自分の部屋に入った。お母さんが掃除してくれているのか埃っぽさは全く感じなかった。ベットに潜り込むとお日様の匂いがした。布団干しておいてくれたんだ。
お日様とお母さんの愛の暖かさにくるまれ、私はすぐに眠りに就いた。
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