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「愛、いつまで寝てるの!」
「ハッ、遅刻しちゃう! ん?」
長年の習慣は恐ろしい。自分のベットでお母さんの怒鳴り声を聞くと義務教育時代の朝にトリップしてしまう。
私とお母さんは軽くパンを食べ交代でお風呂に入って身を清めた。そうしているとチャイムが鳴った。
「こんばんはー!」
由美が来た。そしてお母さんの運転する車に私と由美が乗り、一路愛福寺へーー。
「こんばんは。ご無沙汰してます」
「お久しぶりです。さあ上がってください」
庫裏という名の洋館から住職が現れた。全く年を取っていない、いや、逆に若返っているように見える。
リビングに行くと……。
「愛ちゃ〜ん」
「美香先輩! それに旧家も!」
「久しぶりですね。毎晩観てますよ、天気予報」
「えー、ありがとう」
大学の先輩の美香先輩と旧家。2人は修行のため大学を中退し、現在愛福寺の側で暮らしている。
「美香先輩も山登るんですか?」
「それがね〜、私は行けないの。ドラくんだけ行くんだよ」
「え? どうしたんですか?」
「ほ〜ら、ここを霊視してみなさい」
美香先輩がお腹を突き出した。
「あ……男の子」
「え! 男の子? え〜本当?」
美香先輩のお腹の中にモゾモゾ動くものが視えた。
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