恒例行事

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 空から星明かりが消え、景色が見えるほどに白白としてきた。私たちは最後の力を振り絞り足を動かした。そしてようやく山頂に辿り着いた時、遠くの山と山の間から光が射した。 「間に合った〜」  先に着いていた住職と旧家は既に直立不動で合掌していた。私たちも慌てて横に並び合掌した。  ゆっくりと、しかし確実に太陽は昇ってくる。それと共に世界を明るく照らす。この世から暗闇を焼き消すような厳かな儀式が目の前で起きている。毎日繰り返されているがそれがどれほど有り難い事か。私は目を閉じ感謝を込めて太陽に礼をした。 (うひょ〜〜〜!)  はいはい、恒例のヤツですね。顔を上げ空を見上げた。太陽の光に照らされキラキラ翼を光らせ羽ばたいているミズノコがいた。 「……え!?」  そこにはもう一匹、羽の生えた獣がいた。見覚えのある顔だ。 「ま、まさか……タマ!?」  何とタマが飛んでいた。雄々しく立派な翼を悠々と動かしながら。 「これは驚きましたね。まさかタマが……」  住職も驚きを隠せず興奮していた。 「タマは……タマは進化したんですか?」 「ええ」 「あれは何ですか?」 「あれは……麒麟よ」 「えーーー!」
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