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泰平の世に現れるという獣類の長、麒麟。よく見るとタマの頭にはピョコンと角のようなものが。
「まだ進化したてで角も小さいけど、成長していくと立派な角になるでしょう。頑張ってね、愛さん」
鳥類の長の鳳凰と獣類の長の麒麟。その両方が何で私に?
「愛さんに鳳凰と麒麟がついたわけじゃないのよ。龍とか化け猫がつく事は珍しいけどたまにある。でもそれを進化させられる人は殆どいない。愛さんについたから2人とも進化したのよ」
私は飼育員の素質があるのだろうか。
「何にしても鳳凰と麒麟が現れたという事は平和な世の中の証拠。有り難いわよね」
住職はミズノコとタマに手を合わせた。自分が拝まれているみたいでくすぐったかった。
「さて、いつまでもここにいたら風邪引くわね。帰りましょう」
住職を先頭に山を下りた。みんな体が冷え切り口を開く事さえできなかった。元気がいいのはミズノコとタマだけ。2人仲良く悠々と空を泳いでいた。
「皆さんお疲れ様でした〜」
美香先輩が帰って来た私たちにホットカルピスを運んで来てくれた。冷えた体を優しく温めてくれた。
「カルピスはママの味でしたっけ?」
「あらお母さん、ママの味はミルキーですよ」
「そうそう、そうでした。じゃあカルピスは?」
「”初恋の味”ですよ」
「そうでした! 甘酸っぱい味が初恋そのもの!」
昭和生まれの住職とお母さんは昔のCMの話で盛り上がっていた。そんな2人は放っておこう。
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