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みんながお喋りをしている間、執事たちはどんどんとテーブルに料理を並べていく。おせち料理なので蓋のしてある重箱だ。しかし収まりきらなかった料理がはみ出している。海老の尻尾、それもかなり大きい。もしかしたら伊勢海老? 他にも串が何本も見える。あれには何が刺さっているのだろう。とにかく部屋中良い香りが充満している。食べたい、早く食べたい……!
ピンポーン
誰か来たようだ。そんな事はどうでも良い。お腹が空いた。私はキッチンへ行き取皿を運ぶのを手伝った。とそこへお母さんが。
「愛、あとはお母さんがやっておくから行きなさい」
「え?」
「先輩よ」
「!!」
慌てて玄関に走った。
「明けましておめでとう、愛ちゃん」
ご来光のような眩しい笑顔がそこにあった。
「明けましておめでとうございます。今年も宜しくお願いします」
ペコリとお辞儀をすると先輩も「こちらこそ」と言って頭を下げた。
「もう行けるのかな?」
「えっと……」
先輩との初詣は勿論楽しみ。しかし料理の誘惑に返事が出来ずにいた。
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