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「少しくらいいいだろう。お屠蘇だよ。挨拶がわりだ。飲みなさい」
「え……あ……はい……」
お父さんに勧められ断りきれずに先輩はコップに口をつけた。そして我が家の新年祝賀会が始まった。
「美味しい〜。さすが住職の執事!」
「とても妖が作ったとは思えないわねぇ」
料理はどれも絶品だった。私とお母さんがワイワイと料理に舌鼓を打っている頃。
「陰陽師ってのは儲かるのか?」
「儲けるためにやっているわけではないので」
「しかしそれじゃ家族は養えないだろう」
「生活するくらいは何とか」
「何とかじゃ困るだろ。これから結婚して子どもができて、子どもが東京の大学に行きたいなんていったら物凄くお金が必要なんだぞ。男が頑張らなくてどうする」
「そうなったら死ぬ気で働きます!」
「男に二言はないな?」
「はい」
「じゃあ、任せたぞ」
「え……?」
「愛のことは任せた。幸せにしてやってください」
お父さんが先輩に頭を下げた。
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