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「蒼い月に狂った雪女はね、この村に恐ろしい吹雪をもたらし、多くの人を凍え死なせるんだよ」
「え……?」
宗助の優しい声音で語られる壮絶な内容に、子供たちは絶句する。
「でも大丈夫。今度、蒼い月が昇った時は、僕が雪女とお話しして、正気に戻してあげるからね」
宗助はそう言うとにっこりと微笑む。子供たちはその笑顔に安心したようにその表情を明るくさせるのだった。
そう、この村にある雪女伝説には続きがあるのだ。
蒼い月が昇ると、雪女が狂い、正気を失う。それは宗助が子供たちに語った通りなのだが、その正気を失った雪女を元に戻すために村から一人、男を生贄として捧げることになっているのだ。
この生贄役が、宗助である。
病弱で畑仕事が満足にできない宗助を村人が大事に育てたのには、次に蒼い月が昇る時の生贄として、宗助を捧げるためだったのだ。
幼い頃からそう言う使命があることを言い渡されていた宗助は、何の疑問を抱くことなくこの年まで生きていたのだった。
そして穏やかだった昼間とは一変し、その日の夜、とうとう夜空に蒼い月が姿を現すのだった。
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