二、吹雪の中の邂逅

2/6
前へ
/17ページ
次へ
「宗助、分かっているな?」 「はい」  その日の夜、宗助の暮らす小屋に村長を筆頭に村を治める人々が集まった。日はすっかり落ち、外では雪がちらほらと舞っている。今は穏やかな様子だが、蒼い月が昇った以上いずれはこの天候も荒れていくだろう。  村長は宗助に、今一度雪女を正気に戻すように言いつけにやって来たのだ。宗助ももとよりそのつもりだったため、村長の言葉に真剣に頷き返した。 「では、荒れる前に出立するが良い」 「分かりました。今まで、ありがとうございました。行って参ります」  宗助は今まで育てて貰った感謝を礼に変え、厚着とは言えない軽装で寒空の下、歩き出した。目指すのは村の外れにある祠と、雪女を(まつ)っている(やしろ)である。  雪は少しずつその降る量を増やしていき、風も徐々に強くなってくる。 「急がないと……!」  宗助は軽く咳き込む身体を引きずりながら、村長たちに言われていた社へと急いだ。そうしてようやく辿り着いた時、祠の前でうずくまる、髪の長い真っ白な女性を見付けた。 (え……?)
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加