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「宗助、分かっているな?」
「はい」
その日の夜、宗助の暮らす小屋に村長を筆頭に村を治める人々が集まった。日はすっかり落ち、外では雪がちらほらと舞っている。今は穏やかな様子だが、蒼い月が昇った以上いずれはこの天候も荒れていくだろう。
村長は宗助に、今一度雪女を正気に戻すように言いつけにやって来たのだ。宗助ももとよりそのつもりだったため、村長の言葉に真剣に頷き返した。
「では、荒れる前に出立するが良い」
「分かりました。今まで、ありがとうございました。行って参ります」
宗助は今まで育てて貰った感謝を礼に変え、厚着とは言えない軽装で寒空の下、歩き出した。目指すのは村の外れにある祠と、雪女を祀っている社である。
雪は少しずつその降る量を増やしていき、風も徐々に強くなってくる。
「急がないと……!」
宗助は軽く咳き込む身体を引きずりながら、村長たちに言われていた社へと急いだ。そうしてようやく辿り着いた時、祠の前でうずくまる、髪の長い真っ白な女性を見付けた。
(え……?)
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