2.バレンタインの悲劇

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その時、俺のスマホが震えた。 誰かから、ラインの着信があった。 俺は、その差出人を見てがっかりする。 本当に欲しかった差出人はただ1人だったというのに。 どうして、どうでもいい人からのメッセージばかり受け取ってしまうのだろう。 どうして、こんな事になってしまったのだろう。 俺は、どこから方法を間違えたんだろう……。 小学校? それとも高校入学前? できることなら……ただ無邪気に琴莉の側にいられた、子供の頃に還りたい。 また、ラインの着信が入る。 何度も、何度も繰り返し。 仕方がなく、ラインのメッセージを確認する。 ……あの女からだった。 「ナオ、みんなもう例の場所行くって。あなたも行くでしょ?」 あの女からのメッセージを皮切りに、次から次へと顔も覚えていない女達からの着信も入ってくる。 「ねえナオくんがいないと寂しいよー」 「みんな待ってるよー」 俺は、できることならスマホの電源を切ってしまいたかった。 でも、それをすることはできない。 俺は……あの女に弱みを握られているから。
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