1.それでも、あなたが好き。だから……

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後ろから走ってくる足音が聞こえた。 振り返らなくても、分かった。 「琴莉!待てよ!!」 「何でついてくるの!?」 アイツが、走ってきた。 真っ直ぐ、私の方に。 カバンも持たずに。 「お前が逃げるからだろ!?」 そんな風に叫びながら、怖い顔をしているアイツ。 「意味わかんないよ!!!」 早く小学校についてほしいと考えていた。 信号がこないで欲しいと思った。 捕まりたくないと思った。今、アイツに。 怖いと思ったから。 知らないアイツが、私に近づいてくるのが。 だからだろうか。 「ナオくんなんて大嫌い!!来ないで!!!」 本当はこんなこと思ってないのに。 追いかけてくれるのが、嬉しかったはずなのに。 気がつけば、私はアイツの方を見ずに叫んでいた。 ぴたりと、私を追いかける足音が止んだのに気づいた。 私も、走るのをやめた。 後ろを見てみた。 アイツが、私を怖い顔で私を睨みつけていた。
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