1.それでも、あなたが好き。だから……

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どうしてアイツが、そんな顔をするのか……。 私は分からなくて、混乱してしまった。 だから、その後のことは、よく覚えていない。 気がつけば私は、まだ閉じている小学校の門の前で、座り込みながら泣いていた。 アイツは、もう私の前からはとっくに消えていた。 門を開けに来てくれた先生は 「どうした!?具合でも悪いのか?」 と、私を引っ張って保健室に連れて行ってくれた。 それから結局私は、元々前日まで熱で休んでいたので、 「もう少し休んでこい」 と担任に言われてそのまま早退になった。 親が車で迎えに来てくれたので、アイツの家の前を通る時は、ほんの一瞬だった。 それなのに、さっきのことがすぐに思い出してしまう。 怖かった、アイツの顔。 私は、それを忘れたくて、目を瞑って耳を塞いだ。 「琴莉」 「大丈夫か?」 私を呼んでくれた、アイツの優しい声だけを思い出すようにした。 そうすることで、頭痛が少しずつ治まっていった。 アイツの声が子守唄の代わりになって、私を眠らせてくれた。
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