1.それでも、あなたが好き。だから……

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私が本当に知っていたアイツは、黒髪サラサラで、女の子のようにくりっと目を持つ、まるで絵本の王子様のような見た目をしていた。 だけど、高校で会ってしまったアイツの見た目は……ますます知らない人になっていた。 まるでライオンの立髪のような、金色の髪。 少しだけ黒くなった肌。 ぐんっと伸びてしまった身長。 光が当たると、キラキラと光る耳たぶの大きなピアス。 そして……私を励まし続けてきた、私の記憶の中だけにいた私だけのアイツより、ずっと低くなってしまった声。 そんなアイツが……私を見つけてしまったのだ。 広いはずの入学式の会場で。 私と、目を合わせてきた。 声をかけてきた。 「琴莉、入学おめでとう」 と。 私も……分かってしまった。 あんなに変わってしまったというのに。 気づかない方が、きっと普通だと思うのに。 それくらい変わったアイツを、アイツだと気づいてしまった。 私にとって、アイツを見つけることはまだ、とても簡単だったのだ。 それが……とても悔しかった。
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