1.それでも、あなたが好き。だから……

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アイツは、どんどん変わっていってしまう。 私を置いていってしまう。 アイツは、どんどん魅力的になっていってしまう。 私以外の女の子を虜にしてしまう。 分かってる。 アイツは、もう私の手には届かない存在になっていることは。 昨日も、アイツが他の女の子と駅前で歩いているのを見かけた。 その女の子は、読者モデルとして人気だと、クラスメイト達が教えてくれた。 聞きたくもないのに。 いっそ、私の目が見えなかったら良かったのに。 そうすれば、アイツを見る度に、こんな苦しい思いをしなくていいのに。 私には、アイツがくれた言葉だけでいい。 声だけでいい。 それさえあれば、私は苦しくない。 いっそ嫌いになれたらとも思ったのに、考えれば考えるほど、アイツの声が甦る。 「琴莉」 と私に呼びかける、あの日のアイツの声が聞こえる。 この気持ちが、恋と言うのなら。 まだ私はやっぱり、好きなのだろう。 アイツのことが。 だから、私は……。
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