4.もう離れない

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琴莉は、俺の言葉を聞いた瞬間、顔を上げた。 目にいっぱい涙を浮かべていた。 「ど、どういう……」 琴莉の唇は、まだ震えていた。 「そういう意味だよ」 俺は、親指で琴莉の涙を拭った。 「お前は、許してくれるか?」 「許す……?」 「俺が、ずっとお前の側にいること」 琴莉は、目を丸くしたまま動かなくなった。 まるで、フリーズしたかのように。 「こ、琴莉?」 俺は、琴莉の反応の意味がわからず、戸惑った。 「琴莉?何か、言ってくれないか?」 本当は、答えを聞くのが怖い。 でも、俺は決めていたのだ。 琴莉が言うことは全て受け入れる。 まずはそれからだと、確かに教わったから。 だから、急かさなかった。 琴莉が、俺を見ながら考えている言葉を。 じっと待つ。 それができなければ、これから先一緒に歩いていくことができないだろうから。 自分の心臓の音が、どくんどくんと病室に響いている。 こんなにはっきり、自分の心音を聞いたことはない。 心臓が、はち切れそうに痛くなってきた。 でも、俺は耐える。耐えてみせる。 「ナオくん……」 琴莉が、小さく掠れた声で俺の名前を呼んだ。
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