4.もう離れない

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「何?」 「私、ナオくんの側にいていいの?」 「違う。琴莉」 「何が違うの?」 「俺がいたいんだよ。琴莉の側に」 「でも私……変なんだよ」 「何が?」 変、の意味はわかっている。 ダメすぎる俺に、色々な人が教えてくれたから。 でも俺は、あえて琴莉の声を聞きたい。 「頭ぼんやりするし」 「うん」 「ずっと耳が変なの」 「うん」 「それに……忘れることも多くて……」 「うん…………」 「私、前の私じゃない。ナオくんと一緒にいた頃の私と違うんだよ」 俺は、どういう言葉が琴莉の不安を解消させられるのかを知らない。 それくらい、ずっとずっと離れてた。 だけど知らなくても。 想いを伝えることはできるから。 「琴莉。俺はいろんなものが変わったんだろ?お前が不安になるくらい」 「ナオくん……?」 「それでも、お前への想いだけは、変わらなかったんだ」 たった1つだけ。 俺が琴莉を諦めてあげれば、きっと俺も琴莉もこの先楽だったかもと、1度は考えた。 でも、そのたった1つが、何より嫌だった。 それ以外はどんなに変わったとしても、この想いは変わることはない。 「俺を信じてくれ、とは言わない」 言う資格なんかない。 「それでも、お前が信じても良いと思えるように、俺はもっと強くなるし、もっと変わる。ちゃんとお前のことを守れるようになるから……だから……」 琴莉の目から、次から次へと大粒の涙が溢れていた。 その涙を、今度は指じゃなくて唇で拭った。 「もう、俺から離れるな。琴莉」 琴莉が、微かに頷いたのを確認してから、俺は琴莉の唇にそっと自分の唇を重ねた。 琴莉は、俺の唇を受け止めてくれた。 初めてのキスの味は、ポテチよりずっとしょっぱかった。
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