1.それでも、あなたが好き。だから……

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琴莉を守りたいという気持ちは、日に日に大きくなっていった。 だから、琴莉が行くとこには必ず俺もくっついて歩くようになった。 それが、俺にとっての当たり前だったし、琴莉にとってもそうであったと本気で信じていた。 根拠のない自信が、俺の中にはあった。 戦隊モノのベルトをつけていれば、琴莉をどんな悪の手先からも守れると考えていたので、毎朝母親とは喧嘩をした。 ベルトをつけていきたい俺と、絶対につけるなと取り上げようとする母。 当時の俺にとっては、そんなことが死活問題だったので、たった2日程ベルトを母親に隠されただけで 「どうしよう……琴ちゃんが悪の手先に攫われても、守れないよ……」 と本気で落ち込んでいる時、ひょこっと琴莉が現れる。 それが、いつもの俺たちの日常。 「ナオくん、元気ないの?」 「そんなことない!」 俺は琴莉にかっこいいところを見せたくて、戦隊モノのポーズを決める。 すると琴莉は 「わーナオくん、かっこいいー!!」 と拍手してくれる。 それが嬉しくて、俺は何度も何度も、勝利ポーズを見せてしまう。 琴莉が、ニコニコと笑ってくれる。 そんな風に、琴莉と過ごす時間が、明日も明後日も……永遠に続いてほしいと願った。 だけど半年先に生まれたというのは、俺たちにとっては大変な問題だということに気づいたのは、俺が小学校に入学した時。 初めて、琴莉と離れ離れの時間が長く続いた時。 1日が過ぎるのは、長過ぎると感じた。 その1日が暇すぎて、俺は暇つぶしの相手をたくさん作ることに決める。 サッカーをする相手。 戦隊モノの話をする相手。 そこに誰がいたかなんかはどうでもいい。 琴莉がいない寂しさを紛らわせてくれるなら、誰でもよかったから。 でもいつしか俺は、約束という言葉に支配されるようになる。 そのせいで。本当に一緒にいたいはずの琴莉との時間が、ますます取れなくなるジレンマに陥ってしまった。
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