1.それでも、あなたが好き。だから……

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予感はあった。 毎日登校は一緒にしていたから。 あんなに俺と学校に行くのを楽しそうにしていたのに、日に日に暗い顔になっていく。 何かあったのだろうか、と気にはなっていた。 だから1度だけ 「琴ちゃん、何かあったの?」 と聞いた。 すると琴莉は 「なんでもないよ!」 と可愛い笑顔で言ってくれるから、俺はそれを信じてしまった。 だけど、毎日一緒に登校する、のルーチンがある日急に変わってしまった。 琴莉が、学校へ行けなくなったと、琴莉の母親に教えてもらった。 理由が分からないと琴莉の母親がいうので、俺が探してくると宣言してきた。 休み時間、ちょっと琴莉の教室に顔を出しただけだったが、すぐに分かった。 「なー今日ニワトリいねえな」 「あいつ、小鳥って名前のくせにうるせえからな」 「静かだなーぎゃはは」 クラスメイトたちが、琴莉の机を蹴り飛ばしながら大笑いしていた。 許せなかった。 俺は、自分の母親との約束を破り、琴莉の世界に介入した。 「お前らふざけんなよ!!!」 2年生の俺が、1年生のあいつらをビービー泣かせるのには十分だった。 俺はこの時、琴莉を守ったヒーローになったつもりでいたんだ。 実際のきっかけが俺だった、なんてことに気づこうともせず。
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