1.それでも、あなたが好き。だから……

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俺は考えた。 俺が、琴莉のためにできることは何かを。 琴莉の母親にも話を聞いた。 「ちっとも笑ってくれない」 「ご飯を食べてくれない」 と言った。辛そうな顔をしていた。 俺とずっと一緒にいる時、琴莉はそんなことはなかった。 ニコニコと、いつも楽しそうだった。 ケラケラと、大声で笑っていた。 やっぱり……俺がいないとダメなんだ……。 俺は、琴莉の笑顔を俺の手で取り戻してやりたかった。 だから、また考えた。 俺と琴莉は、何をするにもずっと一緒だった。 琴莉が俺の真似をすれば、俺が嬉しかった。 俺が琴莉の真似をすると、琴莉はパチパチと拍手した。 嬉しいと言った。 そうか、と気づいた。 俺と琴莉が、また同じことをすればいいんだ。 俺が琴莉と一緒になればいいんだ。 そこでまた、俺は考えた。 あいつらは琴莉をニワトリと呼んでいた。 何でニワトリだったのかはどうでもよかった。 琴莉が、ニワトリと呼ばれて傷ついたのだとしたら、俺も一緒にニワトリと呼ばれればいい。 そうすれば、俺と琴莉はお揃いになる。 そうすることが、俺と琴莉が一緒に幸せになれる方法だと、本気で信じていた。
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