1.それでも、あなたが好き。だから……

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そいつに 「やめろ」 と言うだけで済むならよかった。 監視するだけで済むなら、まだ楽だった。 実際、しばらくはそうした。 だから、そいつと俺はしばらくずっと2人でいることも多かった。 すべては、そいつから琴莉を守るため。 琴莉にそいつが何かをしかける気配はなかったから、これが正解だと思っていたのに。 今度は、そいつが傷だらけで教室に現れた。 「どうしたのか?」 俺が理由を聞いても、何も答えてくれないどころか 「2度と話しかけないで」 と、その日から避けられるようになった。 一体何が起きたと言うのか。 別に……そいつから絶交宣言をされたところで、さほど痛くも痒くもない。 むしろ、そいつが俺から離れることで、そいつが琴莉に攻撃する危険性もなくなったわけだから、また堂々と琴莉に会いに行けると一瞬だけ喜んだ。 そして、ふと気づいた。 気になったのだ。 同じだったから。 琴莉が、俺の元から離れた時と。
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