1.それでも、あなたが好き。だから……

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「ナオくんー!今日ひまぁ?」 うるさいな……。 「ナオくん、数学、教えて欲しいなぁ〜?」 うるさい……うるさい……! 何度も、叫びそうになった。 でも俺はその度に、琴莉の笑顔を思い浮かべる。 この笑顔を守るには、俺がこうするしかないのだと、自分に言い聞かせるように。 そして、俺は顔を作る。 顔は区別がつかず、名前も分からない女子たちのために。 「何だよ、お前ら……しょうがねえな……」 俺は、まとめて女子たちの肩を抱いてやる。 「きゃー!!」 そうすると、女子たちは俺のことばかり見るようになるから。 「ナオくん!!私にもして」 「私にも!私にも!!」 「ずるい、こっちも!」 ピーピーうるさい女子たちだが、1人ずつ俺はちゃんと平等に 「ほら、これでいいか?」 と、接してやる。 ちょっと頭を撫でてやるだけで、こいつらを操るのは簡単。 特定の女子だけには決してしない、が重要。 皆、平等に。 求められたら返すだけ。 それだけで、俺の周りは平和になった。 誰も、傷つくことはなくなった。 傷つけられることも、なくなった。 だから、やっと俺は……やっと手に入れることができたと思った。 琴莉に俺が近づいても、琴莉が誰かから傷つけられることもない方法を。 そう、思ったのに……。
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