1.それでも、あなたが好き。だから……

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琴莉……どこだ……!? 俺は、急いで周りを見渡す。 琴莉は、まだ琴莉だけが通っている小学校に続く曲がり角を、ちょうど曲がったところだった。 逃がさない……!! 俺は走った。 だけど、学校の授業以外で、こんなに全速力で走ったことはなかったから、すぐに息があがってしまう。 必死に走っても、琴莉に追いつかない。 昔は、そんなことなかったのに……! 琴莉が逃げても、俺がちょっと走れば、すぐにこの手に琴莉をおさめることができたのに。 今の琴莉は、俺と同じ速度か……それ以上の速度で俺から離れようとしている。 その事実が、余計に俺の胸を苦しくさせる。 「琴莉!!!」 俺は、琴莉の後ろ姿をどうにか見つける事ができてからすぐ、叫んだ。 止まれ。 止まってくれ。 こっちを見てくれ。 そんな願いを込めながら。 「琴莉!待てよ!!」 待ってくれよ、琴莉……!! 俺だよ。 お前を追いかけているのは、お前をいじめていた女子たちじゃない。 だから、逃げないでくれよ。 叶ったと思った。 琴莉と、ちゃんと話したいという、俺の願いが。 琴莉が、足を止めて、俺を見てくれたから。 だけど、遠目からでも分かった。 「何でついてくるの!?」 琴莉が、俺を睨みつけているのが。
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