1.それでも、あなたが好き。だから……

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「どうして……」 「琴莉ちゃんは、何も言ってくれないらしいんだけど……もしかすると、イジメに遭ってたかもしれないんですって」 琴莉が……イジメに? 「どういうことだよ」 「佐川さんが言うには……学校に通えなくなる前に、身体中傷だらけになっていたり、体操着や教科書がボロボロになっていたり……怪しいことが多かったらしいわ」 ……何で。 ……どうして。 俺は、ここにいるのに。 それから、母親はたった今仕入れたという情報を、俺に教えてくれた。 琴莉がイジメに遭っていると気づいた琴莉の両親は、学校や教育委員会にも訴えたけれども 「調査はしたけどイジメはなかった」 と言う回答しか返ってこなかったらしい。 「佐川さんは納得できなくて、再調査を依頼したらしいんだけど……琴莉ちゃんが嫌がったらしいわ」 「嫌がった?何で」 「それが、分からないんですって。でも、それからほとんど家から出られなくなったみたい……」 俺は、次から次に出てくる事実に対して、何を話せばいいのか分からなくなってしまった。 俺の戸惑いの表情を、別の意味に解釈したのだろう。 母親は心配そうに 「あなたは大丈夫?」 と聞いてきた。 「何が?」 「こっちも、何かとそういうこと、あるでしょう?」 「…………」
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