1.それでも、あなたが好き。だから……

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アイツは、私より半年先に生まれていて、偶然隣の家だった。 彼は12月生まれで、私は6月生まれ。 だから学年は、アイツの方が1個上。 親同士はとても仲が良く、物心着いた頃からいつも隣にいたので、私はアイツのことを「お兄ちゃん」と呼んでいた。 ツヤツヤの黒髪に、リスのような大きい目。ミルクのような白い肌にバラ色の唇をしたアイツは、女の私よりずっと可愛くて、よく女の子に間違えられていた。 「かわいいね」 アイツがそうやって、大人に褒められるを横で見るたびに、恥ずかしがるアイツの代わりに私が 「羨ましいでしょう?」 と誇らしげに言っていた。 それくらい、アイツは私の自慢の幼馴染だった。 いつまでも、私がアイツの1番近くにいるのだと考えていた。 それが違うと知ったのは、アイツが先にランドセルを背負い始めてから。 「ナオちゃんばっかりズルい!」 と大泣きしながら、アイツが小学校に行くのを見送っていた。 それでも、この時の私はまだ能天気にもこう考えていた。 自分も小学校に入れば、またアイツの1番側にいられるだろう、と。
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