1.それでも、あなたが好き。だから……

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「こーとちゃん!」 ある日の朝、私の部屋の窓からアイツの声が聞こえた。 何だろう?と思って外を見て私は驚いた。 折り紙で作った赤いとさかと黄色いくちばしをつけたアイツが、私に手を振っていた。 「ナオくん!?」 「見て!俺、ニワトリになったよ!」 何でニワトリになったんだろう?と不思議に思った。 でも、コケコケっと鳴き真似をするアイツがおかしくて、私は久しぶりにたくさん笑った。 「ねえ!一緒に学校行こう!」 アイツはニコニコと楽しそうに私を呼ぶから、私も釣られて 「行く!」 と言った。それを見ていた母親は、泣きながら私にランドセルを背負わせた。 久しぶりのランドセルはやっぱり重かったけど、心は軽かった。 ニワトリというあだ名は結局しばらくは続いた。 けれど、この思い出があったから、ニワトリと呼ばれても悲しくならなかった。 この日から、私にとってアイツは、隣の家にいるお兄ちゃんから特別な男の子になっていた。
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