2.バレンタインの悲劇

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+++—— 俺は、走った。 今までにないくらい、走って走って、呼吸ができなくなりそうだった。 それでも走った。 走れメロスを学校でやった時、そんなに速く走れるんだろうかと茶化したこともあったが、今ならわかる。 大切な人が死ぬかもしれないという時、何かをせずにはいられないのだ。 走らずにはいられないのだ。 琴莉が、今にも死にそうであると聞いてから。
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