2.バレンタインの悲劇

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「波音君」 俺が一通りメモを読んだタイミングで、琴莉の父親が話しかけてきた。 「本来なら、娘の恋愛に親が口を出すべきじゃないと、私自身は思っている。だがね……今回は、流石に私も、黙っているわけにはいかない。どうしてか分かるか?」 ここでは、どう答えるのが正解なのだろう? 琴莉の父親が、俺に求めている答えが全くわからない。 そんなことを考えていると、琴莉の父親からはため息が漏れた。 「答えないということは、それが君の答えということでいいのかい?」 「違います!それは……」 反論しなくてはいけないと思った。 でも、どう反論するべきか答えを作らないまま声を出したため、結果的にまた詰まってしまう。 琴莉の父親は、しばらくの間、俺の回答を待ってくれていたようだが、再び深いため息をついてから 「君は……とてもいい子だと私は思っていた。現にこうして、琴莉の事故を聞いたから、こうして駆けつけてくれたのだろう?」 「はあ…………」 はい、と言いたかったけど、何故か言ってはいけない気がした。 「君を引き止めたのは、これについて聞きたかったからだ」
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