2.バレンタインの悲劇

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俺は、話した。正直に。 自分のライン画面も、ちゃんと見せながら 「誰かにブロックを勝手にされて、投稿を削除されたかもしれない」 と。 琴莉の父親は、しばらく俺のスマホ画面を眺めてから、俺の頭髪に目を向けてから、こう言った。 「すまないね。私には、君が真実を言ってくれているとは思えないんだ」 「どういうことですか?」 「私の耳にもね、それなりに君の評判は入ってきているんだ」 「俺の評判……ですか……」 「君は、学校もそこそこに、たくさんの女の子達と遊んでいるみたいだね」 「それ……は……」 琴莉の父親の指摘に、反論できる部分もあるが、できない部分もいくつかある。 事情を説明するには、俺が抱えていることを全てこの人に話さなくてはいけない。 だけど今、それをすることはできなかった。 根回しが終わってなかったから。 琴莉の父親は、俺にスマホを返しながら立ち上がった。 「琴莉は、もうだめかもしれない」 「え……」 「顔のほとんどが、原型をとどめていないそうだ。今日もし生き残れたとしても、これから辛い道が待っているかもしれない」 「そん……な…………」 「大人げないとは分かっている。だがね……君には、知っておいて欲しかったんだ。君が私の大事な娘に取り返しがつかない傷を残したことを、ね」 琴莉の父親は、まるで呪いをかけるような言葉を俺に吐き捨ててから、走り去った。 俺は、その背中をただ見送るしかできなかった。
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