2.バレンタインの悲劇

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4月。 琴莉と再会した直後、俺はアイツとも再会した。 榎本加耶。 俺と琴莉、2人だけの世界に、最初に割り込んできた女子。 琴莉がいたはずの場所に、いつの間にかじわりと侵食をしていた女子。 鈍かった俺は、その異質さに全く気づかなかった。 ただ普通のクラスメイトの1人……仲間として接していた。 それは俺が中学の時、アメリカに行くまで変わらなかった。 琴莉とは違う、男友達のような気楽さがあった。 それくらいの存在だとしか、俺は榎本のことを思っていなかった。 だから、アメリカから帰る時真っ先に情報を求めたのも、榎本だった。 榎本のおかげで、琴莉とは同じ高校に通うことができた。 とても感謝をしていた。 榎本が困ったことがあれば、俺が力になってやろうくらいには思っていた。 でも実際は違った。 俺が琴莉と会えなくなったのも。 高校でも琴莉が俺を徹底的に避けていたのも。 全ては榎本が仕組んだことだった。
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