2.バレンタインの悲劇

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それからしばらく……琴莉を放課後誘おうと教室を出ようとする度に、俺は止められる。 クラスの女子だけではなく、別のクラスの女子たちにまで。 「ねえ、ナオ?どこ行くの?」 「今度は、私と遊んでよ」 「英語の発音かっこよかった。英語教えてよ〜」 あーうるさいうるさい!!! もう充分遊んでやっただろう! これ以上、俺の時間を奪わないでくれ。 イライラをぶつけそうになる度に、榎本がさっと駆け寄り、耳元でこう囁いてくる。 「やめておきな。今は大人しくした方がいいよ。琴莉ちゃんを守りたいなら」 琴莉を守る。 俺にとってのパワーワードだ。 そうだ。 もしかすると、こいつらの中に琴莉に牙を向ける奴らがいるかもしれない。 俺は、榎本の言葉のおかげでグッと堪えることができて、どうにか問題を起こさずに済んだ。 そして、俺は気づいた。 放課後はもうダメだ。 ならせめて、別の時間を狙おう。 そう考えた俺が、琴莉に話しかける時間として選んだのは……昼休みだった。
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