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2月
2月。
年を開けて早いものでもう一か月。
私は今月に入ってそわそわしていた。
2月といえば、女性も男性も楽しみにしている最大のイベントがある。
そう、それは、バレンタインデーだ。
「誰にあげよう?」
「今年はチョコ何個もらえるかな?」
そう皆がドキドキワクワクする一大イベントだ。
実を言うと私も今月に入って……いや、正確には1月の後半からバレンタインデーはどうしようかと頭を悩ませていて眠れない日もあった。
「江梨~、真理~どうしょう⁉バレンタイン悩むよぉ~」
ある日のこと、私は一緒にルームシェアしている親友の大野江梨と、遊びに来ていた二宮真理に泣きついた。
「また~?全く、加絵はいつもそればっかりじゃん……たまには他の話題はないわけ⁉」
呆れたように江梨がため息をつきながらそう言う。私の名前は、櫻井加絵現在、27歳の彼氏なしだ。
「だって~、迷うもん‼二人は誰にもあげないわけ~?」
頬を膨らませながらそう言うと、
「私は職場の人にあげるよ‼今用意しているんだ~」
ニコニコ顔でそう言う真理に反し、
「私はあげないかな。彼氏とはもう別れているし、何なら好きな人もいないし、何よりめんどくさい……てか真理。私にチョコは?」
クールに江梨がそう言い放つ。
「江梨と加絵ちゃんと沙奈にはちゃんとあげたでしょ」
苦笑しながら真理がそう答える。
「だって、真理。明らかに私達にあげたチョコと職場の人にあげるチョコの格差が激しいもん‼加絵、これどう思う?」
「え~っ、もらったからいいじゃん。てかそれよりも私はどうしたらいいの~‼」
手をバタバタとさせながらそういうと、
「あっ、ダメだこいつ……全然人の話聞いてない……」
江梨が小さくため息をついた。
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