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お店にて
「う~ん本当にどうしよう……迷うなぁ……」
次の日の夜。その日バイトが早く終わった私は、お店の中にあるバレンタインコーナーで、う~んう~んと頭を悩ませていた。
たくさんの種類や形のあるチョコレートを目の前にして頭を抱える。
ちなみにだけど、沙奈や江梨、真理や職場の人にあげるチョコレートはもう購入済みだが、私はある人に渡すチョコレートで悩んでいた。
その人は、私が高校の時からずっと好きだった人だ。
私より六つ離れていて、現在33歳。カッコよくて仕事も真面目な素敵な男性だ。その人の名前は、有末翔太さんだ。
「あぁ、もう‼本当にどうしたらいいの⁉」
ガシガシと頭を掻きながらそう呟いていると、
「あら?加絵じゃない?」
私を呼ぶ声が聞こえた。慌てて声のした方を見ると、パパのお姉さん、美和おばさんが私に手を振っていた。
「あっ、美和おばさん。こんばんは」
「加絵、こんばんは。何々?バレンタインコーナーでチョコなんて選んじゃって……もしかして、彼氏にでもあげるのかしら?」
「ちっ、違いますよ‼好きな人にあげるんです‼」
気が付けばそんなことを口走っていた。
「ふ~ん。こんなにたくさんチョコ買って~。加絵はこんなにも好きな人がいるのね」
「これは、友達にあげる友チョコ専用です‼」
きっぱりとそう言い切るとおばさんはニヤニヤし、
「そうなの。まぁ頑張りなさい‼じゃあまたね」
言いたいことだけ言って去って行った。
「もう、おばさんは……自分が言いたいことだけ言って去って行くし……」
はぁっとため息をつきながら再びチョコレート探しに戻る。
しかし、これと言ってピンッと来るものはなかった……
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