2月13日 バレンタイン前日

1/1
前へ
/6ページ
次へ

2月13日 バレンタイン前日

あれから一週間が過ぎ、今日は2月13日。 そう、つまりバレンタインの前日。 私は自分の部屋で頭を抱えていた。 と言ってもチョコのことではなく、(結局、チョコはネットで買った) バレンタインチョコに備える手紙の内容だ。受け取ったあの人が、喜んでくれるような、そして少しでも私の気持ちが伝わるような手紙を書きたいのに、なかなか書き出せない…… 小説家を目指しているのに、いい文章か書けないなんて…… 「はぁ~っ、もうボツ‼休憩‼」 シャープペンを放り出し、部屋の天井を見上げる。 いよいよ明日はバレンタイン本番だというのに…… ため息をついた時、 コンコン。 部屋のドアがノックされた。 「はーい」 ドアに向かってそう返事をすると、江梨が顔を覗かせた。 「加絵、何か荷物届いていたよ。って、これGODIVAじゃない⁉何を買ったのよ?」 荷物を渡しながら、江梨が興奮気味にそう言う。 「チョコレートよ。有末さんにあげるための」 江梨から荷物を受け取り、丁寧に専用の袋に入れる。 「いいなぁ~私もGODIVA欲しい~」 「あんたにはチロルチョコをあげたでしょうが‼」 「だって、あれまずかったもん‼GODIVAがいい~」 「ハイハイ、分かった分かった。今度買ってあげるから‼」 「本当⁉約束だよ~」 江梨はそう言うと、自分の部屋に戻って行った。 「よし‼このチョコに負けないように、いい手紙を書かなきゃ‼」 私は、シャープペンを再び握りしめると、便箋(びんせん)に一文字ずつ文字を書いていく。 そう、自分の気持ちが一つ一つ伝わるように……
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加