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2月13日 バレンタイン前日
あれから一週間が過ぎ、今日は2月13日。
そう、つまりバレンタインの前日。
私は自分の部屋で頭を抱えていた。
と言ってもチョコのことではなく、(結局、チョコはネットで買った)
バレンタインチョコに備える手紙の内容だ。受け取ったあの人が、喜んでくれるような、そして少しでも私の気持ちが伝わるような手紙を書きたいのに、なかなか書き出せない……
小説家を目指しているのに、いい文章か書けないなんて……
「はぁ~っ、もうボツ‼休憩‼」
シャープペンを放り出し、部屋の天井を見上げる。
いよいよ明日はバレンタイン本番だというのに……
ため息をついた時、
コンコン。
部屋のドアがノックされた。
「はーい」
ドアに向かってそう返事をすると、江梨が顔を覗かせた。
「加絵、何か荷物届いていたよ。って、これGODIVAじゃない⁉何を買ったのよ?」
荷物を渡しながら、江梨が興奮気味にそう言う。
「チョコレートよ。有末さんにあげるための」
江梨から荷物を受け取り、丁寧に専用の袋に入れる。
「いいなぁ~私もGODIVA欲しい~」
「あんたにはチロルチョコをあげたでしょうが‼」
「だって、あれまずかったもん‼GODIVAがいい~」
「ハイハイ、分かった分かった。今度買ってあげるから‼」
「本当⁉約束だよ~」
江梨はそう言うと、自分の部屋に戻って行った。
「よし‼このチョコに負けないように、いい手紙を書かなきゃ‼」
私は、シャープペンを再び握りしめると、便箋に一文字ずつ文字を書いていく。
そう、自分の気持ちが一つ一つ伝わるように……
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