BL団地妻シリーズ〜in the pool タリナイ人妻、誘惑の競泳水着

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「それじゃあ、今日もいつものメニューで始めましょうか」 プールサイドにとびきり爽やかな声が響く。 「は、はい」 里都は少したじろぎながらも、永瀬にならって屈伸運動をはじめた。 しかしパーカーの下の状態が気になって、いつものように思いっきり屈んだり飛んだりすることができない。 やっぱりこんなの着るんじゃなかった… ぎこちなく身体を動かしながら、里都はほんの少し後悔していた。 主夫仲間のあの男から貰ったプレゼント。 これなら確実に永瀬を誘惑することができると言われたそのプレゼントは、競泳水着だった。 しかし、いつも里都が身につけている太ももまで布地のあるものとは違い、ビキニラインの際どいブーメランタイプのものだった。 プレゼントを開けた時、こんな布面責の少ない恥ずかしい水着を着て永瀬の前に立てるわけがないと思った。 絶対無理だと。 しかし里都は今、その恥ずかしい水着を着けて永瀬の前に立っている。 羞恥心と同じくらい、この姿を見た永瀬がどんな反応をするのか知りたいと思ってしまったからだ。 おかしいのはわかっている。 本来ならコーチではなく、夫に見せるべき姿だ。 里都がこのスイミングを始めたのは、夫を誘惑するため、そして彼の妻として魅力的になるためだった。 里都のこの姿を見た夫は、間違いなく性的な目で見てくれるだろう。 もしかしたら、里都の念願だった濃厚で気が狂いそうになる程激しいセックスも現実となったかもしれない。 けれど今、里都が振り向いて欲しいのは夫ではない。 夫ではないのだ。 「では水に入りましょうか」 永瀬が羽織っていたパーカーを脱いだ。 割れた腹筋、隆起した胸板、逞しい腕。 鍛え抜かれた肉体に目が奪われる。 里都の喉がゴクリと鳴った。 レッスンの後の自宅のトイレで、この肉体をおかずに何度劣情を吐き出してしまったかわからない。 あの日の感触を思い出して、抱きしめられるどころか彼に抱かれる自分を想像して何度も興奮した。 夫ではなく、永瀬にだ。 欲望はすでに限界を迎え、このままでは頭の中は永瀬コーチのことでいっぱいになってしまう。 「一回ヤっちゃえばスッキリするって」 主夫仲間の助言を思い出し、里都はそれを必死に言い訳にした。 一回きりだ。 これで終わりにする。 これですっきりするはずなんだ。 頭の中から夫の気配を消すと、里都はゆっくりとフロントのジッパーを下ろし、パーカーを腕から抜いた。 「用意はいいですか?」 そう言って振り向いた永瀬が里都の姿を捉える。 それまで笑顔だった永瀬の表情が、目に見えて強張っていくのがわかった。 里都はたちまち居た堪れない気持ちになった。 やはりこんな計画がうまくいくはずがないのだ。 永瀬が必ずしも靡くとは限らないのだから。 「すみません。その…き、気持ち悪いですよね」 里都は慌ててパーカーを掴むと身体を隠そうとした。 しかし、その手はすかさず伸びてきた永瀬の手によって遮られてしまう。 ハッとして永瀬を見上げると、こちらを見下ろす眼差しと視線が絡んだ。 「隠さないでください」 掴まれた腕が熱い。 絡みつく視線も。 その熱は色白の里都の肌を瞬く間に紅く色づかせた。 「もしかして……誘ってます?」 単刀直入に問われて、里都の身体はますます熱くなる。 顔から火でも噴いているのではないかと思った。 「あ、あの…」 「いつものと明らかに違いますよね」 素直に頷くことも誤魔化すこともできず、里都が押し黙っていると、掴まれた腕に僅かに力を込められた。 「今日のレッスン内容は変更します。プールに入って」 永瀬が静かに命じてくる。 その口調にいつもの軽快さはなく少し怖かったが、里都は素直に従った。 「望月さん」 里都の後に続いてプールへ入ってきた永瀬が揺れる水面の向こうで静かに切り出した。 「僕はあなたを怖がらせるようなことはしたくない。田中さんみたいに無理矢理なことはしたくないんです。でもその姿は僕を誘っているとしか思えません。だから聞きます。それはあなたに触ってもいいと捉えていいんでしょうか」 永瀬になら無理矢理ねじ伏せられても構わないと思っていたのに、里都を気遣ってくるのが何とも永瀬らしい。 それがますます里都の気持ちを昂らせる。 「触ってください」里都はそう言う代わりに、永瀬の手を掴むと自分の胸に導いた。 濡れた肌に触れた男の手のひらがピクリと動く。 と同時に、それまで静かに揺れていた水面が大きく揺れ、里都の身体は強い力に引き寄せられていた。 「望月さん、あなたは悪い奥さんだ」 罪の意識を抉ってくるその言葉に胸のどこかがチクリと傷む。 しかし、それを上回る喜悦と興奮が里都の理性をたちまちプールの底へと沈めてしまったのだった。
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