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BL団地妻シリーズ〜in the pool タリナイ人妻、誘惑の競泳水着
夫の休日前の夕食は必ず牡蠣を使った料理にする。
牡蠣に含まれるDアスパラギン酸とNメチル-D-アスパラギン酸というアミノ酸が、性ホルモンを高める効果があるらしい。
それにニンニクを合わせる。
ニンニクはアリシンの宝庫。
血の巡りが良くなり、ボディタッチにとても敏感になったり、よりハードな勃起を持続できるようになるんだとか。
もちろんアルコールも忘れない。
アルコールにはリラックス効果があり、抑制心も和らぐ。
つまり性欲を掻き立てる誘発材料になるのだ。
ただし、適量はグラス2杯まで。
里都は空になった夫と自分のグラスにワインを注ぐと、ふふと笑った。
「お仕事お疲れ様でした。今週は残業が三日もあったから疲れたでしょ?」
テーブルを挟んだ向こう側では、短く整えられた頭に白髪を散らした壮年の男が目元に皺を寄せて微笑み返してくる。
「ありがとう。里都にも寂しい思いをさせてすまなかったね」
「俺は平気だよ。それに忙しいって事は飛鳥彦さんが頼りになるって事でしょ?ご飯しっかり食べて今日明日はゆっくり休んで」
里都がそう言うと、飛鳥彦はまた顔をくしゃりとさせて笑った。
望月里都夫、望月飛鳥彦は大手製薬会社の常務だ。
社長の補佐をしながら役員として会社経営に携わり、会社の業務執行や従業員の監督などを行っている。
里都も飛鳥彦と同じ製薬会社の社員として働いていた。
といっても里都が務めていたのは田舎の地方支社。
里都が配属されたのは総務部の事務職だったが、それでも会社のため毎日尽力に励んでいた。
ある日、支社視察のため役員数名を従えた社長がやってきた。
その頃の会社は、市場の変化とライバル社の成長についていけず経営はギリギリ状態。
社内でも倒産が噂されるほど瀬戸際を彷徨っていた。
やって来た社長や数名の役員は酷くピリピリとしていて、里都たちを見下すと言った。
「お前たちのような無能な社員のせいでこうなったのだ」と。
確かに会社を経営するという事は難しい。
こんなご時世大きな会社を存続させていくということは並大抵にできることではなし、ましてや一度崩れた経営を立て直すということがどれほど厳しい事か平社員の里都でもよくわかっているつもりだった。
けれど里都が知る限り、里都を含め周囲の人間は皆会社のために懸命に働いていたし、決して怠惰にやったりはしていなかった。
それなのに、社長や役員たちは経営がうまくいかないのはまるで里都たちのような地方社員のせいだと言わんばかりの勢いで罵ってきたのだ。
そんな中ただ一人、現場の声に耳を傾ける男がいた。
彼は他の人間とは違い、人を上から見下ろすような高慢な態度はとらなかった。
それどころか社員を労い、一人一人にどこを改善すべきか丁寧に教えてくれたのだ。
それが常務の望月飛鳥彦だった。
真摯で誠実、仕事に直向きで優しい飛鳥彦はすぐに里都の憧れとなった。
そして、それはほどなくして恋心へと変わった。
しかし、その時の里都に告白する勇気なんて微塵もなかった。
男同士という壁も当然だが、いち地方の平社員が会社のトップ役員である常務とどうにかなれるなんてとても思えなかったからだ。
だから里都はとにかく真面目にがむしゃらに働いた。
少しでも飛鳥彦に近づくため、飛鳥彦に認められるような仕事のできる男になるために。
それから半年後、経営は少しずつ回復し会社も無事に持ち直した。
里都はその勤勉さと努力が認められ本社へと栄転が叶い、憧れの飛鳥彦と同じ会社で働けることになったのだ。
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