りんごとレモン

1/5
前へ
/5ページ
次へ
「庸平兄ちゃん、先にお風呂上がりました」 39度のぬるい入浴を楽しんでから、ぼくは身体をタオルで軽く拭いて、リビングに戻りました。 兄ちゃんはまだテレビを見ていた様子で、刑事さんと悪い人がバタバタ暴れています。ちょうど、今がいいところだったみたいです。 少し邪魔をしてしまったと、後悔しました。 「あぁ。ゆっくり入れたか? 蘭太」 「はい。ごめんなさい、先にお風呂をいただいて。気持ちよかったです」 「そうか。ならもうさっさと寝るんだ。明日はテストだろ」 「はい。そうしようと思います」 ぼくはにこりと笑い、そのまま2階の部屋に上がろうとしましたが、「あ、ちょっと待て」と兄ちゃんがぼくを制止したので、そのまま止まりました。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加