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僕は帰るとたくさん実験をした。
結果は全てダメだった。
1番酷かったのは樹海だった。
飲まず食わずで歩いて餓死するか熱射病かで死ぬと算段を打って出たものの2ヶ月たっても3ヶ月たっても結果が出ないので諦めた。あれほど効率の悪いものは無いだろう。
それでもわかったことはある。
僕はあの日から死ねなくなったのだ。
大学生になって、社会人になって、結婚して、10年近くだった頃やっと気づいた。
ああ、僕は俗に言う不老不死か。
両親が死んだ。
友達が死んだ。
妻が死んだ。
子供が死んだ。
孫が死んだ。
僕の前を死が流れていく。
僕にはない救いの手。
僕にとって未知のもの。
そして、特別では無いもの。
もう、いくつ歳を重ねただろうか。
僕はあの日の僕を
あの日の僕の好奇心を
恨んでいる。
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