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確かに今考えれば、エヴァンの意見が全うであるとアナベルにもわかる。けれど当時の彼女にはわからなかった。
それどころか幼い彼女は、このときの二人の話を聞いて羨ましくてしょうがなかった。
「えっと……それはつまり、お前も外出したいっていう……」
「そういうこと?」
アナベルがこくりと頷けば、再び顔を見合わせる兄とエヴァン。
二人はようやくその意味を理解したというように眉をひそめる。
「いや……お前はまだ小さいし」
「そうだよアナ。外はとっても危ないんだ。それに君は女の子だろう?」
「危ないなんてウソ! もしそうなら、おにいさまとエヴァンだってだめじゃない!」
「……いや、だけど」
「僕らはもう大きいし……」
「ずるいったらずるい! アナもお外に行くのー!」
「……や、それはほんとに無理」
「ごめんねアナ。君は連れていけないんだよ。せめて君があと二つ大きくなったら……」
「~~ッ!」
二人の言葉に、彼女の中で怒りが増大していく。
そうしてついにその怒りは最高潮に達し――こう叫んだ。
「連れてってくれなきゃ、さっきのことおかあさまに言いつけちゃうんだからああああっ!!」
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