8.幼き日の記憶:すべての始まり

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 確かに今考えれば、エヴァンの意見が全うであるとアナベルにもわかる。けれど当時の彼女にはわからなかった。  それどころか幼い彼女は、このときの二人の話を聞いて羨ましくてしょうがなかった。 「えっと……それはつまり、お前も外出したいっていう……」 「そういうこと?」  アナベルがこくりと頷けば、再び顔を見合わせる兄とエヴァン。  二人はようやくその意味を理解したというように眉をひそめる。 「いや……お前はまだ小さいし」 「そうだよアナ。外はとっても危ないんだ。それに君は女の子だろう?」 「危ないなんてウソ! もしそうなら、おにいさまとエヴァンだってだめじゃない!」 「……いや、だけど」 「僕らはもう大きいし……」 「ずるいったらずるい! アナもお外に行くのー!」 「……や、それはほんとに無理」 「ごめんねアナ。君は連れていけないんだよ。せめて君があと二つ大きくなったら……」 「~~ッ!」  二人の言葉に、彼女の中で怒りが増大していく。  そうしてついにその怒りは最高潮に達し――こう叫んだ。 「連れてってくれなきゃ、さっきのことおかあさまに言いつけちゃうんだからああああっ!!」
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