11.幼き日の記憶:いざ、幽霊屋敷へ

3/4
前へ
/150ページ
次へ
* 「おっ、マッチ結構残ってるぞ。これだけあれば途中で火が消えても平気だな」 「うん。にしてもこのマッチ新しいね。全然しけってないし」 「そうか? 普通だろ?」    キッチンで無事マッチを発見した二人は、ギルに渡されたランプに灯りをともす。そしてそれを頼りに、廊下へ出ようとドアノブに手をかけた。  するとそのとき、エヴァンがあることに気づく。扉に何か文字が書いてあるようだ。 「待ってサム。開けないで。ここ、何か書いてあるよ、見て」 「――ん? 本当だな、落書きか? へったくそな字だな。……えーっと、『汝の勇気を証明したくば、屋根裏部屋にて銀の皿を見つけよ』――なんだこれ」 「“銀の皿”? ――というかこのやたら大振りな文字、どこかで見たことある気がしない?」 「……大振り? 筆跡ってことか? ……、あっ」  二人は顔を見合わせる。このメッセージが誰からのものかわかったのだろう。  彼らは状況を把握できないアナベルをよそに、クスクスと笑い始めた。 「あいつ……やってくれるな。なんも知らねーふりしてさ」 「うん……いやでも面白いよ。これだからやめられないんだよね。彼らと付き合うの」
/150ページ

最初のコメントを投稿しよう!

84人が本棚に入れています
本棚に追加