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そう、つまりこれはギルからの挑戦状なのだ。
“俺抜きで最上階まで行ってみせろ”――という、二人への挑戦状。
ギルからのこのメッセージに、二人は――特にサミュエルは、先ほどまで感じていた幽霊屋敷への恐怖心をすっかり消し去り――その瞳に闘志を燃えあがらせる。
相手が庶民であろうと貴族であろうと、売られた勝負は買うのが男というもの。
「見つけてやろうじゃねぇか。“銀の皿”ってやつをさ」
「そうだね。ここまでされて黙ってるわけにはいかないし。アナ、僕たちちょっと探し物しなきゃいけなくなったから、しっかり着いてくるんだよ」
「……? うん!」
アナベルの返事を皮切りに、サミュエルが今度こそドアノブに手をかける。ギギッと音を立て開いた扉の先に、暗闇が広がった。
内廊下には窓がない。それは暗いトンネルさながらだ。
けれど闘志に燃えるエヴァンとサミュエルは、その暗闇に少しも恐れをなさなかった。
「行くぞ、アナ」
「足元に気を付けて」
彼らは躊躇うことなく、確かな足取りで一歩を踏み出す。
そんな二人の背中を追いかけるように、アナベルもまた――一度だけごくりと唾をのみ込んでから――闇に足を踏み入れた。
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