4月1日に本当の気持ちを

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 隣っていうか向かいっていうか、私とまー君は団地の同じ階に住んでいる。私が鍵っ子なことをいつも気に掛けてくれるのに、家に上げてって言ったりうちに来てって言ったりすると二言目(ふたことめ)には「通報されちゃう」。  でもついに今日、私は高校を卒業した。胸に造花を飾ったまま、革っぽい筒を持ったままでまー君の家のチャイムを押す。  まー君が出てきたのと同時に、握りしめている筒を見せた。 「見て! もう子供じゃないよ!」 『子供に手は出せません』って言われても言い続けていた言葉の返事を今日こそ貰えるはず! 「好き!」  いつものようにタックルした。なんでいつもと同じ頭ポンポンなの? 「あのね、俺が『子供』って言ったのは学生って意味じゃありません。自分の言動に責任を持てない人はいつまで経っても『子供』です」  悔しくてさらに強く抱きつく。 「持てるもん!  私を後部座席にしか乗せてくれないところも、カレー好きなのに辛いの苦手なところも、こんな田舎で生まれ育ったのに虫が苦手なところも全部好き!  カレーを作る時は思いっきり甘くして、虫からも守ってあげる覚悟で言ってるもん!」  私の頭に乗せられている手がずっと動かないままだから、チラッと顔を見ようとしたらまー君の手に少し力が入って止められた。
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