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「ねえ、別れない?私ら」
仮病からあがって久々に勇次に会ったクリスマスの日。特に出かけることなく、つっついた小さいケーキだけを机の上に放置したままいつものように不謹慎なゲームをしている最中、私は勇次にそう告げた。クリスマスの日に何提案してんだとも思うのだが、はあ?と睨む代わりに勇次が言ったのは意外な言葉だった。
「そうだよね」
その意味が分からず手を止めると、勇次は言葉を付け足した。
「俺もずっと考えてた。このまま一緒にいてもどっちのためにもならないって。だってこんなの...」
「妥協してる?」
言いにくそうに口を結んだ勇次の代わりに私が言うと、勇次はこくりと一つ頷いた。
「俺は優奈のこと好きだよ。でも、このまま結婚するのも何か違うって言うか...」
「そもそもみんなに言われて付き合ったって感じもあるしね。」
思ってることをそのまんま言うと、勇次も同じように思っていたらしくまた一つ頷いた。
「一緒にいれば何か分かるんだと思ったけど、でも俺の中で優奈はずっと優奈だし、ずっと仲いい友達って感じだし。俺恋愛とかしたことないからそれが何かも分かんないけど、でもやっぱりこのまま一緒にいるの、よくない気がする。」
似たもの同士は群れるとか言うけど、それは当たってる。勇次は勇次で、びっくりするほど私と同じこと思ってたんだと改めて納得した。
「私も勇次のことは好き。」
勇次の話に頷きながらも、そう言えば私の気持ちを言ってなくて勇次が片思いみたいになってしまった状況を不憫に思った私は、絶対的にタイミングがおかしくても言っておかなければと思ってそれを伝えると、勇次は優しく力ない顔で笑った。
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