さくらのひ

Ⅱ

　そんな会話をしたものの、結局私たちはすぐには別れず、卒業までこの関係を続けようという決断に至った。というのも、これが最初で最後の「恋人」かもしれないし、どうせだったらこの先しないかもしれない恋人の遊びでもやってみようかという話になったのだ。だから私たちは各々の将来について考える傍ら今まで行かなかった場所に出かけたりしてみた。元々インドア派な私たちだから慣れない散策にすぐ息をあげたが、それはそれで結構楽しんだ。途中人目のない所でキスしてみたりしたが、やっぱり恋愛漫画である効果音のドキドキとか全然なくて、欲求がない時は「唇がさがさ」とかムードのない事を言い合って笑った。他から見ればおかしいと言われるような関係だとは思う。でも、そんなのどうだっていい。これが私たちなんだから、他人にとやかく言われる筋合いも、ない。