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 大学に入り所属したサークルはいわゆる飲みサークル、略して「飲みサー」。お酒を飲んで騒いで、店内でぶっ倒れて怒られる。それで学ぶのかと思いきや同じことを繰り返すのが大学生。ついこの間国が決めた大人の線を越えたからって「もう大人なんだから」って怒られると、十九と二十の違いってなんだよって反抗したくなるけど、盛大に行う儀式を終えればもう大人らしい。  大学生というのは肩書きで、実際私の周りは遊び人ばかりだ。高いブランド品を身につけて、高級な化粧品を顔に飾る。そんな私生活に必須のお金を稼ぐためには身を粉にして働かなければいけない。つまり、本業である勉学が(おろそ)かになるのだ。  流石の私はそこを見失うほど馬鹿ではない。でもみんなの話題についていくために、ファッション雑誌やら人気俳優のドラマやらをひたすらに見ていた。この人のどこがいいんだろうと偉そうな意見を頭に浮かべながらも、みんなが好きと言うから私も好きになろうと思って、画面にかじりついてその人の容姿や演技を研究した。  そのおかげもあって三年間、私は浮くこともなく普通に大学生活を過ごすことが出来ていた。それが楽しいかと聞かれれば黙ってしまうけど、話について行けた時私も馴染めてると思える高揚感が私にその生活を長年続けさせている。
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