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 一方の勇次はというと、勇次も勇次で他と仲良くやっていたようだった。私たちほど派手ではないが地味でもない、青年感溢れる集団の中持ち前の容姿がよく馴染んだ勇次はよく「ゆうくん」と呼ばれている。名前も馴染ませるために生まれたそのニックネームを初めて聞いた時、私は吹き出しそうになった。言われてみれば「ゆうくん」も合っているのだろうが、長年一緒にいて「ゆうくん」と呼ばれているのを聞いたことがなく、それでいて新鮮だったからなんだろう。とにかく「ゆうくん」は朗らかなイメージを大学で構築し、平穏に生活をしていた。  彼氏彼女の関係である私たちは時たまデートなんかに行ったりもする。よくあるのはおうちデートだけど、殆どの場合テレビゲームとお酒で二人騒ぎ倒してリビングに雑魚寝するオチだ。気分の時はアレもするけど、あんまりしない。やっぱりお互いに色んな欲が欠けてんだなって、隣で寝息たててる勇次を見て時々思う。
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