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 残りはとにかく馬鹿みたいに笑っとこうと思って乗り切った一週間の最終日、やっと終わったという開放感ですがすがしい気分だった私に、一緒に行った友達はとどめを刺した。  「何かアタシ本気であそこに入りたくなっちゃった。人もよかったし!アンタもどう?」  ノリノリの友達と真逆の私は怒られた職場になんか二度と戻りたくないという気持ちでもちろん断った。でもはっきりと嫌だと言えなくて「一応他のとこも見てみる」なんて濁した言葉で対応した。ああそっか、私ってずっと誰かに合わせて生きてきたんだ、だから何にも惹かれないし意見も言えないんだってその時初めて気がついた。私がちゃんと足並み揃えられてるって思ってた友達は、私の知らない所で頑張って将来のこととか考えてたんだ。  みんな、知らない間に遠くに行っちゃってたんだな。  この先の希望を夕日が反射してキラキラした目で語る彼女の隣で、目もしっかり開けていられない轟々しさを遮るように手で目元に影をつくる私の想いは途方に暮れていた。
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