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大黒橋は、とりあえず女を覆面パトカーへ案内した。
「すいませんねえ、お茶くらいお出ししたいのですが、無粋なもんで」
機動捜査隊官舎へ連れていくかどうかの判断は彼女の話の内容による。
「長くなるかもしれません。それでもよろしいですか」
女は申し訳なさそうにたずねた。
「全然問題ありませんよ。聞くのが僕らの仕事ですから。さて、奥さんのお名前を教えてください。私は機動捜査隊の大黒橋と申します。若い方は深谷といいます」
大黒橋は女の横に座り、自己紹介した。運転席に座った深谷が身体を曲げて会釈する。「深谷です」
「わたくしは、影山梨沙子と申します。もう四十五年も前のことですが・・・」
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